天使になってミルクを運んだ蟻






子供の頃に考えたり思うことは


今になって役立つことや考えさせられることも多い。





11歳の時、小学校へ出かける朝


私が玄関扉を開けたその隙に飼い猫が飛び出した。



その前日やその前も、隙を狙って飛び出しそうになったり


飛び出しては何度も連れ戻していた。




私が生まれる前から一緒に暮らしていたその猫は


ゆったり落ち着いていて、弟や妹が生まれる前は一緒に遊んで


大きくなっても私のお風呂やお手洗いにもついてきて、


夜になると私のベッドで眠った。


お姉さんのような存在だった。




その日は追いかけても間に合わず


連れ戻すことができなかった。




仕方なく学校へ向かった。


ずっと心配しながら過ごした。


11年生きてきた中で、彼女が家にいないことなんてなかった。




その日は帰ってこなかった。




翌日、いつものように学校へ行き帰宅すると


母が静かに話し始めた。



学校へ行ってる間に連絡があったようで


家の近くの街路樹の下で死んでいたのを近所の人に発見された。



近所の人がお宅の猫じゃないかしら?と教えてくれたそうだ。




母は連絡が入るとすぐに会いに行き、


車に敷かれている姿を私には見せないように



すぐに火葬に引き取ってもらったそうで


私が行った時にはもうそこにはいなかった。





その日から、


母と一緒にその街路樹へ行く日課ができた。



小さなお花とミルクを持って通った。



ある日ミルクの交換へ行くと、



古いミルクの中に蟻が浮いていた。



何匹も浮いていた。




心の中で思った。



猫が死んで悲しいのに、私は蟻まで殺してしまったの?



そこからこの蟻たちについて考えた。


すぐに子供の私にとっての答えが見つかった。



猫も蟻も同じ天国にいる。



ここに置いておいても猫はミルクを飲めないから



蟻たちが天使になって運んでくれたんだ。



そう思うようにした。



言い訳が上手な子供だったから、それを自分に言い聞かせて



納得していた。




そんなことを、毎年思い出す。











鈴木ひらり




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